建築の大切な基礎「墨出し」の役割とは?
2023/08/14
建築物の安定性や美しさを保つ上で、建築の基礎となる作業があります。
その中でもとても重要な作業が墨出しで建築現場で正確な距離や角度を決める作業です。
この作業が適切に行われなければ、建物の完成度や耐久性に大きな影響を及ぼすことになります。
今回は、建築の基礎である墨出しの役割について詳しくご紹介します。
墨出しとは
墨出しとは、建築現場で建物の基礎や柱、梁、壁などの位置や高さ、形を図面上の設計内容に合わせて、建物の土台となる位置に精度をもってマーキングする作業で、要するに基準となる印や線を出すことです。
住宅やビルなどを建築する際の墨出し作業には、昔ながらの墨壺を使った出し方もありますし、近年では工業用のマジックペンやチョーク、ラインテープ、ルーターなどの道具を使用し、正確な測定を行います。
私たちが行う墨出しはごく小規模なものが多いのでマスキングテープ、コンベックス、筆記用具、下地探し用の道具類で十分事足ります。
壁面への家具の取り付けなどを行う際には下地が壁の中にあるのかを十分に確認してから作業を行いますが、精度が悪ければ傾いたり、不具合が発生する可能性があるため、一見地味な作業ですが高い技術と正確さが求められます。
墨出しの役割
建築における墨出しは非常に重要な役割を果たします。
墨出しを行うことで、図面に書いてある情報を実際に現地で原寸大の大きさで確認することができるので、建物全体のバランスや正確な位置を確認することができます。
特に建物の基礎は、建物全体の安定性を支える大切な部分です。
墨出しを行わずに基礎を建てると、建物が傾いたり、不安定になる可能性が非常に高くなります。
また、壁や柱の位置がずれてしまうと、それぞれの部分がスムーズにはめ込まれず、建物全体が歪んでしまう可能性があります。
墨出しの方法
家具の取り付けを行うときの墨出しは、ご希望の設置位置を確認してからその場所に下地の有無を確認するところから始まります。
ご希望の設置位置に家具と同じサイズをマスキングテープで貼り、下地の確認ができた箇所に筆記用具で印を書き出していきます。
この時に気を付けているのは針を刺して下地が確認できたその左右にも針を刺して念入りに確認するということです。
これを行うと、いざビスを打ち込んだ時に下地の際を触る形になってしまい、全然効いていないという事態をさけるということができます。
ちなみに
古今東西、建築において一番重要なことは、正確な寸法の取得です。
昔から建築業界、大工さんは床のことを陸(ろく)と呼ぶことがあります。
恐らくもともと地面のことを指していたものが転じて建築用語になったのではないかと思います。
で、平らでない床のことを不陸(ふりく)と言い、陸ではない→平坦ではない→ろくでない→碌でなし(ろくでなし)という慣用句が誕生したみたいです。
調べてみたら碌は当て字とのことで小石がゴロゴロと多い、役に立たないなんて意味があるようです。
そんな会話があったんでしょうね笑